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    Categories: 雑記

オープンになってきたプログラム開発環境

ICTの世界は,日進月歩です。そのキーワードは何でしょうか。
その一つは,「公開(オープン)」です。

ソースコード,開発環境,提供方法の公開・オープン化が広がっています。

  1. オープンソースのAndroidがWindowsを抜いてシェア世界一位になり,サーバーOSのLinuxのシェアも過半数です。
  2. Microsoft社のVisual Studio Community2017やApple社のXcodeが無償でダウンロードできます。
  3. Microsoft社より,Windows10 の無償のアップグレードが提供されました。

他分野では,トヨタ自動車が水素自動車の関連の特許実施権を無償で提供する英断をしました。

画期的なエネルギー供給のため,多くの人々による研究開発が待たれます。


本稿では,「公開(オープン)」を手がかりに,ICTの流れを考えます。






1 支持されたオープンソース

オープンソースのOSの利用が,広がっています。

机の引き出しを探していると,2002年版のRed Hat Linux サーバー8.0 のCD-ROMが見つかりました。

赤色のCD-ROMディスクです。

インプレス「できるPRO」と印字。書籍の付録だったように思います。

「サポート権は付属しません。使用前に必ず本書2ページをお読み下さい。」とあります。

サポートを受けるには,別途費用が必要でした。

当時の高価なWindowsサーバーなどと違い,Linuxは無料で構築できます。

しかも軽く動きます。

ハードがハイスペックでなくても,Linuxは快適に動作します。Windowsを動かすには性能が不足するコンピューターでも動いていました。

また,軌道に要するファイルサイズが小さくてすみ,ハードに依存せず,CD-ROMブートもできることに,感心しました。

壊れたWindowsPCからデータを回収する必要が生まれたときには,CD-ROM起動ができるLinuxを活用しました。

このOSLinux を導入してサーバーを構築した経験は,ネットワークの仕組を理解するとてもよい勉強になりました。

当時のLinuxは,ごくごく専門性の高い人々が自由意志で作成しているOSという,筆者の印象でした。

Linuxのプログラムのつくりはとても堅牢で,Windowsよりセキュリティーは高いと感じていました。

インストール直後は,ネットで通信する出入り口となるポートは,全てふさがれていました。

小さなプログラムであるデーモンは,一つ一つ起動させないと何も動かないという仕組でした。

Linuxの安全性の徹底ぶりに驚いた記憶があります。

逆を言えば,初心者には厳しい仕様でした。

【疑問】これまで堅牢なOSが,なぜ無償で開発され続けるのでしょうか。

なぜ無償なのでしょうか。

高い志だけで,無償で提供が継続できるのでしょうか。

答えは,長らく不明のままでした。

WebサーバーのApache,データベース管理システムのMySQLなどにもさわりだけ触れ,それらの機能には興味津々でした。

これらは,15年ほど前の筆者のサーバー作りの思い出です。

さて,世界で最も利用されているOSは,Androidだそうです。

2017年3月度には,Androidは,Windowsを抜いて世界第1位(37.93%)になりました。

そのAndroidも,Linuxと同じようにオープンソースです。

ソースコードは公開され,誰でも自由に使え,しかも無料です。

オープンなだけに,ウイルスなどの陰の部分の問題もより多く存在します。

陰を含めてオープンをとるか,より安全を求めてクローズをとるか,選択の問題かもしれません。

2 オープンソースのシェア拡大

サーバーOSのLinuxのシェアが,昨年末で6割~8割になっています。

いくつかの環境があり正確には調べられませんでしたが,ほとんどLinuxが占有した状況のようです。

松下康之氏,山田竜司氏(ZDNet 2016年06月20日)は,Linux OSの最もシェアをもつCanonicalのシャトルワース氏の話を次のように伝えています。

なぜ,UbuntuがパブリッククラウドやOpenStackのホストOSとして現在,大きなシェアを持っているのか。

それを説明するならキーワードはFriction(摩擦)だ。

もともと開発者というのはあまりお金を持っていない

だからオープンソースは彼らにぴったりのソフトウェアだった。

当然お金がないからデータベースにOracleを使うことなどないし,とにかくなるべく安くソフトウェアを開発したいと思っていた。

だから自分が持っているMacintoshのラップトップで動けば良いし,それがサーバで動けばもっと良いわけだ。

サーバが必要なら直ぐに立ち上げて必要がなくなったら消せばいい。

そういう意味で初めてパブリッククラウドであるAmazon Web Survices(AWS)が出てきた時はそういう開発者のニーズにピッタリ合っていた。つまり必要ではないFriction,摩擦をなくしたんだ。

6月8日…Interop 2016でLinuxOSで最大のシェアを持つUbuntuの開発元であるCanonicalの創業者Mark Shuttleworth氏にインタビュー…Ubuntuは,CloudやOpenStackの環境においてAmazon Web Services(AWS)のマシンイメージとして70%,Microsoft Azure上のLinuxインスタンスの80%,Dockerのイメージの70%,そしてOpenStackにおいても65%(100ノード以上の大規模システムの中のシェアであり全デプロイの中だと51~55%)程度というシェアを持つ。

出典 ZDNet松下康之,山田竜司(編集部)「Ubuntuが最もシェアを持つLinux OSになった理由–Canonicalのシャトルワース氏」2016年06月20日[ONLINE]https://japan.zdnet.com/article/35084172/(参照2017年4月20日)

シャトルワース氏の話から,先の疑問の答えが聞けたような気がします。

その答え,無償で開発する理由は,

【シャトルワース氏】開発者のために,「とにかくなるべく安くソフトウェアを開発したい」

との強い思い,志です。

ソースコードを公開・オープンにし,無償化することで,多くの人による開発が進み堅牢で高機能なシステムになってきました。

ソースコードは,秘密にする方が堅牢なシステムになりそうな気もします。

ですが,結果としてオープンソースは支持されてきています。


3 Visual Studio Community2017,Xcode の無償ダウンロード

Apple社のXcode やマイクロソフト社のVisual Studio 2017など,プログラム開発のソフトが,無償でダウンロードできます。

いつから無償なのかは,分かりませんが,とても有り難いことです。

誰でも,意欲のある人はプログラム作成に挑戦できます。

折しも,学校でプログラミング教育が始まります。

よい環境が整ってきました。

(1)マイクロソフト社 Visual Studio 2017

筆者は,Visual Studio ver.「6」の時代に,教材ソフトを開発した経験があります。たいした物ではありませんが。

Windows98で動く時代です。ちょうど20年前のことです。

その開発ソフトVisual Studioは,当時五万円ほどだったと記憶しています。

全くの初心者がプログラムを作るのには,費用面のハードルがありました。

今では,Visual Studio 2017 は無償です。

そのことをつい最近知り,さっそくダウンロードしました。

興味のある方は,Microsoft「Visual Studioホーム」ホームページ内,Visual Studio Community2017 を参照下さい。

筆者がよく分からずエンタープライズ版をダウンロードしたら,有料部分があるようです。

それを削除すると,ファイルの整合性がとれなくなり修復に手間取りました。

ダウンロードする際は,コミュニティー版をおすすめします。

初心者の方なら,これで十分かと思われます。

(2)Apple社 Xcode

Apple社のXcode も無償です。

Xcodeは,Apple社が無償で提供する開発環境です。

下記の Swiftという言語を使って,iPhoneやiMacなどのプログラムをつくることができます。

Swiftは,iOS,Mac,Apple TV,Apple Watch向けのアプリケーションを開発するために Appleが作ったプログラミング言語です。…Swiftは簡単に使えて,しかもオープンソース(https://www.apple.com/jp/swift/)より

Xcode は,アップルストアからダウンロードできます。

ただ,インストールできるのは,Macのみです。

筆者は,iPadProはもっていますが,MacがないためXcode を利用できません。

秋には,新型iMacが登場とのことです。ぜひ購入したいと考えています。

4 Windows 10 の無償アップグレード

Windowsは,バージョンアップされ,最新版はWindows 10 となりました。

Windows7,Windows 8 /8.1 は,無償でWindows 10 にアップグレードできました。

しばらく前は,Windowsの新バージョンが発売されると,新OSを購入する店頭の行列が話題となっていました。

価格はそこそこしますが,操作性など市民の支持は高いOSでした。

それが一転です。有償だったOSのアップグレードが,無償になりました。

より安全で,より高機能な Windows 10 への無償アップグレードです。

1年間の限定で既にその期間は終了してはいますが,発表当時,驚きの声があちこちで聞かれました。

Androidのシェアの問題が要因の一つのようです。

Androidは,オープンソースのOSであるため,高価なスマートフォンのコスト削減に貢献していると推測します。

話をWindowsに戻しますが,世界にインストールベースで15億台のWindowsマシンがあるそうです。

6億台強は,マイクロソフトの無償アップグレードの恩恵が受けられる対象です。

そのうちインストールされたのは1億台という話です。

いずれにしても,経営陣の大きな決断だったと考えます。

7月29日(水)に600万人の Windows Insider の皆様と開発してきた,待望の Windows 10 がリリースされました。Windows 10 は,Windows 7 ユーザーにとっても,Windows 8/8.1 ユーザーにとっても,使いなれた操作感のまま,さらに快適に,そして大きくパワーアップされています。この記事では Windows 10 無償アップグレードの展開等に関し,できるだけわかりやすく解説いたします。

出典 Microsoft atLife「Windows 10 無償アップグレード開始に向けて」2015年7 月 29 日
https://www.microsoft.com/ja-jp/atlife/campaign/windows10/compat/upgrade.aspx(cf.2017/4/20)

5 公開は今後のキーワード

分野は変わりますが,トヨタ自動車が,水素自動車の関連,燃料電池関連の特許実施権を無償で提供する英断をしました。

筆者は,このニュースを聞いたとき,さすがトヨタと心動きました。

周囲からは,グローバルなトップ企業として,世界規模の社会貢献を視野に入れた英断と評価されました。

しかし,その後の世界の自動車産業は,電気自動車に傾いているようです。

ホンダ等以外のメーカーは,道なき道を開こうとするトヨタと共に歩く選択をしないようです。

むしろ,水素自動車に対して後ろ向きの発言も見られます。

水素関連の技術には,大きな期待があります。

多くの人々が研究開発に参加すれば,この水素関連技術等のコストを下げることは容易だと考えます。

コストが下がれば,日本をはじめ資源の少ない国に,画期的なエネルギー源を提供できるようになります。

ある意味,産業革命です。研究者の活躍に期待したいところです。

経済産業省によれば,第4次産業革命は,人工知能(AI)やロボット,あらゆるモノがインターネットでつながるIoTの拡大。第5次産業革命は,バイオテクノロジーだそうです。

そうすると,水素エネルギーは第6次でしょうか。

筆者は,水素エネルギーが産業革命のキーワードになることを願ってやみません。






◯ ソースコードやプログラム開発環境,プログラム提供方法の公開・オープン化が広がっています。
  1. オープンソースのAndroidがWindowsを抜いてシェア世界一位になり,サーバーOSのLinuxのシェアも過半数です。
  2. Microsoft社のVisual Studio Community2017やApple社のXcodeが無償でダウンロードできます。
  3. Microsoft社より,Windows10 の無償のアップグレードが提供されました。

◯ トヨタ自動車が水素自動車の関連の特許実施権を無償で提供する英断するなど,公開・オープンは今後の社会のキーワードになるかもしれません。

maru320i:
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