時間と水の高さ
算数科6年「比例」導入の授業のポイントは,何でしょうか。
ポイントは,

  • 関数の指導のポイントを踏まえること,
  • 伴って変わる二つの量を見出す活動を大切にすること,
  • 連続量であり,単調に増加していることを実感できるようにすることです。

本稿では,単調増加の連続量を実感できるようにするなどの具体について考えます。あわせて,教材ソフトも紹介します。

1 ソフト:小学校算数科6年「比例」導入

サイズ:891 KBytes  ファイル名:hirei.exe  作成者:Marche  種別:フリーソフト

確認済動作環境:WindowsVista,Windows10

2 ソフトの概要

「比例」の導入で活用し,伴って変わる二つの量を具体的にとらえられるようにすることを目指した教材ソフトです。

伴って変わる二つの数量である「時間」と「水の深さ」の関係を,アニメーションでとらえることができます。

また,表が表示され,「時間」と「水の深さ」の変化の様子と,表の数値が同時に見られるようになっています。
hirei

3 単元の概要と指導のねらい

比例に関わる指導内容は,学習指導要領では,以下のように示されています。

D(2)「比例」

伴って変わる二つの数量の関係を考察することができるようにする。
ア 比例の関係について理解すること。また,式,表,グラフを用いてその特徴を調べること。
イ 比例の関係を用いて,問題を解決すること。
ウ 反比例の関係について知ること。

〔算数的活動〕(1)

エ 身の回りから,比例の関係にある二つの数量を見付けたり,比例の関係を用いて問題を解決したりする活動

文部科学省小学校学習指導要領解説算数編平成20年6月[ONLINE]http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/06/16/1234931_004_2.pdf

単元「比例と反比例」では,これまで学習した数量関係の見方・考え方をまとめることになります。

伴って変わる2つの数量の関係の中から,特に比例関係にあるものを中心に考察します。

もって,関数の考えを一層伸ばすことが指導のねらいです。

4 指導のポイント

比例の指導内容を考えるとき,別稿「算数科関数の考えを学ぶ意味と指導のねらい」をご参考下さい。

(1)関数の指導のポイントを踏まえる

比例は関数であり,関数関係の中の特徴的な関数です。

関数の指導内容には,関数の考えを育成するなど関数に特有の指導方法があります。

現行学習指導要領では,「関数の考え」を生かす指導は以下のようになっています。

  1. ある場面での数量や図形についての事柄が,他のどんな事柄と関係するかに着目する
  2. 二つの事柄の変化や対応の特徴を調べていく
  3. 見いだした変化や対応の規則性を,様々な問題の解決に活用し,その思考過程や結果を表現したり,説明したりする

この視点で,単元を構成し,学習活動を構想する必要があります。

(2)伴って変わる二つの量を見出す活動を大切にする

特に,伴って変わる二つの量を見出す活動を大切にします。

何が変化したら,それに伴って何が変化するのか。

児童が,発見できるように,学習活動を工夫します。

そのとき,本教材ソフトを活用することも考えられます。

伴って変わる二つの数量,すなわち,独立変数と従属変数を見つける手立てにできます。

時間がたつと, 水の高さが増える

「時間」と「水の深さ」という二つの数量が伴って変わっていること,

「時間」が独立変数で「水の深さ」が従属変数であることを,児童が実感をもって見つけられるようにすることが大切です。

(3)連続量であり,単調に増加していることを実感できるようにする

時間は連続し,どの時間を取っても水の深さは一意に決まります。

しかも,水の深さは時間に伴って増え続けます。

途切れることはありません。

ただし,入れ物がいっぱいになるまでという変域の制限はあります。

このことを動画にして視聴させたり,教師が水を入れる様子を実際に見せたりして,児童が実感できるようにします。

特に,0分の時,0cmを導入時に意識できるようにします。

表やグラフの作成の際に,0の取り扱いを議論することになります。

0に対する実感がないと,原点を通る直線の「原点を通る」根拠がもてません。

導入の際には,0から始まり,連続していることを話題にする必要があります。

例えば,

「さあ,水を入れるよ。(時計をわざと先に動かすなどして)水の高さはどうかな。」

など,教師の一言から児童の見る視点を焦点化できます。

このことを観察したり考えたりする学習活動を工夫する必要があります。






【指導のねらい】伴って変わる2つの数量の関係の中から,特に比例関係にあるものを中心に考察し,関数の考えを一層伸ばす

【ポイント】(1)関数の指導のポイントを踏まえる

  • ある場面での数量や図形についての事柄が,他のどんな事柄と関係するかに着目する
  • 二つの事柄の変化や対応の特徴を調べていく
  • 見いだした変化や対応の規則性を,様々な問題の解決に活用し,その思考過程や結果を表現したり,説明したりする

(2)伴って変わる二つの量を見出す活動を大切にする

(3)連続量であり,単調に増加することを実感できるようにする

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算数科6年「比例」導入