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1 ネットワークとデータが創造する新たな価値
総務省は,平成 28 年 7 月「平成28年版 情報通信白書」を公表し,次のような社会の展望をまとめています。
第1章 ICTによるイノベーションと経済成長
IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~を設定
○ IoT・ビッグデータ・AI等のICTの進展により我が国の経済成長は加速,2020年度時点で実質GDP約33.1兆円の押し上げ効果。
○ 成長要因別にみると,TFP(全要素生産性)の寄与度が大きい。ICTはTFPの寄与度をさらに高める効果。
○ 様々な分野におけるICTの利活用が進展することで,ICTは供給面のみならず,需要の創出においても貢献。
○ ICTは,(既存統計のみではとらえきれない)非貨幣価値の創出にも貢献。
第2章 IoT時代におけるICT産業動向分析
○ IoT(インターネットにつながるモノの数)は「自動車」や「産業用途」をけん引役として,引き続き拡大。
○ IoTの進展に係る課題についての国際企業アンケート(日,米,英,独,韓,中)結果として,日本はインフラ面については他国と比較して課題と感じている企業が少ない一方,人材育成を課題と感じている企業が多い。
○ 日本はインフラ整備状況に比してIoT進展指標が低く,人材の育成やユーザー企業へのIoTのユースケースの紹介等,IoT利活用を進める必要がある。
第3章 IoT時代の新製品・サービス
○ IoT時代を象徴する新サービスとして,FinTechやシェアリング・エコノミー等が登場。従来にない価値創造や課題解決に資する事例も現れつつある。
○ 国別では米国から,各国の年代別では若年層から利用意向の上昇や利用が進みつつある傾向。
○ ICTは,社会課題解決にも貢献。
○ データの利活用・流通と安全性・コストとを両立させる方法として,ブロックチェーンや分散管理等の技術の可能性が注目されている。
○ ICTは,地域の活性化にも貢献。
第4章 ICTの進化と未来の仕事
○ 人工知能(AI)の導入により,「AIを導入・普及させるために必要な仕事」と「AIを活用した新しい仕事」の2種類の仕事により,タスク量の増加が見込まれる。
○ 日本の就労者は米国よりも,対応・準備の遅れが目立ち,また,人工知能(AI)活用スキルの習得意欲も低い。
出典:「平成 28 年版情報通信白書」(総務省)抜粋 二次利用可
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/
2 人工知能(AI)普及時代に向けた就労者の準備と意識,スキルの習得の支援環境
人工知能(AI)の普及に向けた今後の対応・準備について,日本の就労者は「対応・準備については,特に何も行わない」が過半数を超えています。
また,自分が取得もしくは子どもに習得させたい人工知能(AI)活用スキルを問うと,日本の就労者は,いずれにおいても,米国の就労者よりも各種人工知能(AI)活用スキルの習得意欲が低い結果となっています。
人工知能(AI)活用スキルを身に付けるなど,人工知能(AI)普及時代の準備の意識は高くなく,必要性も強くは感じていない状況が見られます。
一方で,人工知能(AI)活用スキルを取得するための学習環境や支援制度に対するニーズについては,日米双方の就労者で「大学等高等教育機関における教育・研究の充実」を必要とする人が多い状況です。
また,人工知能(AI)の研究開発や社会への普及における,我が国政府に期待される役割については,国内有識者の過半数が「人工知能(AI)の実用化および導入を促進する政策をとるべき」と回答しています。
人工知能(AI)活用スキルの準備が進まない一つの要因として,取得するための学習環境や支援制度が整っていないことがあげられそうです。また,環境づくりと併せて,意識の啓発も必要と考えられます。
このようなことから,学校教育においても,高等教育のみならず各校種段階で,ネットワークとデータが新たな価値を創造する時代に向け,プログラミング教育が要請されていると考えられます。
1 今後,ネットワークとデータが新たな価値を創造する時代になる
2 ICTの進展により,我が国の経済成長は加速し,ICTは,供給面のみならず需要や非貨幣価値を創出する 3 インフラ面は他国と比較して課題と感じる企業が少ない一方,人材育成を課題と感じる企業が多い 4 日本の就労者は,米国よりも対応・準備の遅れが目立ち,人工知能(AI)活用スキルの習得意欲が低い |