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1 「育児スマホ利用4割」
情報教育を考える時、情報化の「光と陰」の問題は、常に取り上げられます。
特に、情報化の「陰」の問題は避けて通れません。
今朝の毎日新聞の朝刊は、「子どもの遊びや知育などに、約4割の保護者がスマートフォンを取り入れていることが北九州市の調査で分かった」と報じました。
「市の調査によると、子どものしつけや遊びにスマートフォンを使っているかの質問に対し、『よく使っている』『時々使っている』と回答した割合は、就学前6歳までの子どもの保護者が40%、小学生の保護者が36.4%だった」とのことです。
(毎日新聞西部本社2017年5月17日第25面「育児スマホ利用4割」)
この調査結果の詳細について、北九州市のホームページを調べましたが、公開はされていないようです。
どのような場面でどのように使っているのか、気になる結果ではあります。
2 歩きスマホの母親と乳児
先日、若い母親が、胸側におんぶ紐で、乳児を向かい合わせで抱えながら歩いていました。
母親は、乳児をやや右寄りに右手で抱え、左手にはスマホ。
母親の視線は、左側、スマホ画面を向いていました。
右寄りの乳児は、母親の顔を見つめていました。
すれ違う1分間ほどの光景です。その後の様子はわかりません。
母親には、重要な情報を確認する時間だったかもしれません。
子どもにとっては、とても長い待ち時間だったように見えました。
脳全体の司令塔と言われる前頭前野は、人との関わりの中で発達すると言われています。
幼少期に家族との十分なコミュニケーションの経験を積むことは、主体的でコミュニケーション力のある子どもに育つなど、その後の子どもの成長発達に大きな影響を与えます。
3 「質の高い時間」「語り合う時間」の大切さ
マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は、
「携帯を持つのは、14歳になってから」
と決めていたそうです。
「すべての子ども達は、大きな可能性を秘めている。
重要なことは、質の高い時間を多くもつことだ」
とも述べています。
マイクロソフトMSN Top Photo by Ida Mae Astute Licensed material used with permission by MirrorTABI LABO星 佑貴「ビル・ゲイツが、子どもが14歳になるまで絶対に禁止していたこと。」https://www.msn.com/ja-jp/lifestyle/life/ビル・ゲイツが、子どもが14歳になるまで絶対に禁止していたこと。/ar-BBAZxk1#page=2(参照2017/05/17)
ビル・ゲイツ氏の言う「質の高い時間」とは、おそらく積極的に人とコミュニケーションとる時間のことをいうのでしょう。
アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏の家で、多くの時間を過ごした「Steve Jobs」の著者Walter Isaacson氏が次のように語ったそうです。
「毎晩、スティーブは、台所の大きなテーブルで夕食をとり、本や歴史、さまざまなことについて話し合った。
誰も、iPadやコンピュータを取り出したことはありません。
子どもたちは、デバイスにまったく依存していないようだ」
The New York Times Company NICK BILTON 「Steve Jobs Was a Low-Tech Parent」SEPT. 10, 2014[ONLINE]https://www.nytimes.com/2014/09/11/fashion/steve-jobs-apple-was-a-low-tech-parent.html?_r=0(cf.2017/05/17)
ITの巨人、世界のIT産業を牽引するトップリーダーの2人の家庭がともに、デジタルディバイスを避け人とのコミュニケーションやディスカッションを大切にしています。
4 スマホ社会の光と影を知り、子どもの健康を守る役割
ある光景です
父親はバイクの手入れに専念していました。
庭で遊ぶ女児が父親を呼んでいます。
二三度と呼んでも父親が振り向かないため、女児の声がだんだん大きくなりました。
「お父さん!」
ついに女児は、怒ったような泣いたような声で父親を呼びました。
「もう、お父さん!!」
人間とのかかわりやコミュニケーションは、自分の思ったようにはなかなか進みません。
iPadのボタンをタップするとすぐに動く、というようなことにはなりません。
人は、人との関わりでしか本当の人にはなれません。
私たち大人は、自分自身の健康も含め、子どもの心身の健康を守る役割があります。
そのためには、日々進化するIT機器やそれが活用される社会の特質を知り、適切にIT機器と関わる意識を常にもっておく必要があります。
アンケートでは、子どもの遊びや知育などに、約4割の保護者がスマートフォンを取り入れていることが分かりました。
街では、乳児を抱えスマホに視線をやる母親を見かけることがあります。 ビル・ゲイツ氏は、子どもの可能性のために重要なことは、質の高い時間を多くもつことだと言っています。 スティーブ・ジョブズ氏は、夕食時は、IT機器を避け、家族でのディスカッションを大切にしています。 私たち大人は、自分自身の健康も含め、子どもの心身の健康を守る役割があります。 そのためには、日々進化するIT機器やそれが活用される社会の特質を知り、適切にIT機器と関わる意識を常にもつ必要があります。 |