- 小学校,中学校,高等学校の国語科の目標は,どのように発展するのでしょうか。
- 「言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して」という「見方・考え方」,「学び方」は共通し,「資質・能力」は学校段階が上がるごとに,次のように質や学びの範囲などが高まり発展します。
・国語で「正確に理解し適切に」表現する資質・能力から,「的確に理解し効果的に」表現する資質・能力へと,国語の理解や国語での表現の質が高まる
・「日常生活」,「社会生活」,「生涯にわたる社会生活」へと,理解し使える必要な国語の生活範囲が広がる
・「日常生活における人」,「社会生活における人」,「生涯にわたる社会生活における他者」へと,伝え合いに関わる人の範囲や質が広がり高まる
・言葉がもつ「よさを養い」から,「価値を豊かにし」,「価値への認識を深める」へと,言葉のもつ価値への認識の豊かや深さが増す
・言語感覚を「養い」から,「豊かにし」,「磨き」へと,言語感覚の質や精度が高まる
・「国語」が「我が国の言語文化」へ,「大切さの自覚」が「言語文化の担い手」へと,対象や関係の質が高まる
1 各校種における国語科の目標
柱書 | 知識及び技能 | 思考力,判断力,表現力等 | 学びに向かう力,人間性等 | |
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高等学校 |
言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で的確に理解し効果的に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
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(1) 生涯にわたる社会生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
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(2) 生涯にわたる社会生活における他者との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力を伸ばす。
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(3) 言葉のもつ価値への認識を深めるとともに,言語感覚を磨き,我が国の言語文化の担い手としての自覚をもち,生涯にわたり国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。
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中学校 |
言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
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(1) 社会生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
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(2) 社会生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力を養う。
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(3) 言葉がもつ価値を認識するとともに,言語感覚を豊かにし,我が国の言語文化に関わり,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。
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小学校 |
言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
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(1) 日常生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
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(2) 日常生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力を養う。
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(3) 言葉がもつよさを認識するとともに,言語感覚を養い,国語の大切さを自覚し,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。
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※ 出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」H30.3[ONLINE]https://www.mext.go.jp/content/1384661_6_1_3.pdf,「中学校学習指導要領」H29.3[ONLINE]https://www.mext.go.jp/content/1413522_002.pdf,「小学校学習指導要領」H29.3[ONLINE]https://www.mext.go.jp/content/1413522_001.pdf(参照2020.05.26)
小学校「国語科の目標」解説を縦横に読む,中学校「国語科の目標」解説を縦横に読む
2 国語科目標の学校種別比較
小・中・高等学校学習指導要領解説国語編の目標部分の解説をもとに,各校種の目標の共通点,相違点を見出す。
それにより,国語科の見方・考え方,学び方,資質・能力が小学校から高等学校へどのように発展するのか,学校種の違いによる資質・能力等の系統の概要を捉える。※( )は高等学校
柱書
(1) 資質・能力
① 共通点
ア 国語科は言語能力を育成する教科
教科の目標では,まず,国語科において育成を目指す資質・能力を国語で正確(的確)に理解し適切(効果的)に表現する資質・能力とし,国語科が国語で理解し表現する言語能力を育成する教科であることを示している。
イ 言語形式と言語内容に関わる表現と理解の能力
言語は,言語形式とそれによって表される言語内容とを併せもっている。
平成20(21)年告示の学習指導要領においては,「国語を適切に使う能力と国語を使って内容や事柄を適切に表現する能力」,「国語の使い方を正確(的確)に理解する能力と国語で表現された内容や事柄を正確(的確)に理解する能力」の両方の内容を含んだものとして,「国語を適切に表現し正確(的確)に理解する能力」を示していたところである。
今回の改訂において示す国語で正確(的確)に理解し適切(効果的)に表現する資質・能力とは,国語で表現された内容や事柄を正確(的確)に理解する資質・能力,国語を使って内容や事柄を適切(効果的)に表現する資質・能力であるが,そのために必要となる国語の使い方を正確(的確)に理解する資質・能力,国語を適切(効果的)に使う資質・能力を含んだものである。
ウ 理解,表現の順
正確(的確)に理解する資質・能力と,適切(効果的)に表現する資質・能力とは,連続的かつ同時的に機能するものであるが,表現する内容となる自分の考えなどを形成するためには国語で表現された様々な事物,経験,思い,考え等を理解することが必要であることから,今回の改訂では,「正確(的確)に理解」,「適切(効果的)に表現」という順に示している。
エ 資質・能力を三つの柱で構成
今回の改訂では,他教科等と同様に,国語科において育成を目指す資質・能力を「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」の三つの柱で整理し,それぞれに整理された目標を(1),(2),(3)に位置付けている。
② 相違点
「資質・能力」については,小・中学校は「国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力」と共通し,高等学校は「国語で的確に理解し効果的に表現する資質・能力」へと発展し,国語の理解や国語での表現の質が高まる。
「国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力」については,小・中学校で共通する。
ア 小・中学校は「正確」「適切」
・ 国語で表現された内容や事柄を正確に理解する資質・能力,
・ 国語を使って内容や事柄を適切に表現する資質・能力
であるが,そのために必要となる
・ 国語の使い方を正確に理解する資質・能力,
・ 国語を適切に使う資質・能力
を含んだものである。
イ 高等学校は「的確」「効果的」
「国語で的確に理解し効果的に表現する資質・能力」とは,
・ 国語で表現された内容や事柄を的確に理解する資質・能力,
・ 国語を使って内容や事柄を効果的に表現する資質・能力
であるが,そのために必要となる
・ 国語の使い方を的確に理解する資質・能力,
・ 国語を効果的に使う資質・能力
を含んだものである。
(2) 見方・考え方,学び方
① 共通点
ア 言葉による見方・考え方を働かせる
今回の改訂で各教科等の目標に位置付けられた「見方・考え方」は,各教科等の特質に応じた,各教科等ならではの物事を捉える視点や考え方であり,各教科等を学ぶ意義の中核をなすものである。
言葉による見方・考え方を働かせるとは,児童生徒が学習の中で,
・ 対象と言葉との関係
・ 言葉と言葉との関係
を,言葉の意味,働き,使い方等に着目して捉えたり問い直したりして,言葉への自覚を高めることであると考えられる。
様々な事象の内容を自然科学や社会科学等の視点から理解することを直接の学習目的としない国語科においては,言葉を通じた理解や表現及びそこで用いられる言葉そのものを学習対象としている。このため,「言葉による見方・考え方」を働かせることが,国語科において育成を目指す資質・能力をよりよく身に付けることにつながることとなる。
小・中学校学習指導要領の英訳版(仮訳一部公開,高等学校は未公開,2020.5.26現在)では,「各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。)」を「discipline-based epistemological approaches, hereinafter referred to as “Approaches”」と訳す。見方・考え方は,“Approaches”とされる。訳語を考え合わせると見方・考え方の意味がより一層捉えやすくなる。
すなわち,見方・考え方は,物事を認識するときの入り方,近づき方,せまり方と言い換えることができる。
国語科においては,物事を認識するとき,言葉からアプローチする。
引用:文部科学省「平成29年改訂小・中学校学習指導要領英訳版(仮訳)」[ONLINE]https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1384661.htm(cf:2020.05.26)
イ 言語活動を通して資質・能力を育成する
言語能力を育成する中心的な役割を担う国語科においては,言語活動を通して資質・能力を育成する。
言語活動を通して,国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力を育成するとしているのは,この考え方を示したものである。
なお,言語活動の具体については,「第2 各学年の目標及び内容」で言語活動例として解説されている。
この言語活動について,学習指導要領では,「(1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。」として,児童生徒の発達や学習の状況に応じて設定した言語活動を通して,(1)〔思考力,判断力,表現力等〕に関わる指導事項を指導することとされている。
② 相違点
ア 発達段階や学習状況に応じた言語活動例
例えば,次のような言語活動例がある。
小学校国語科〔第3学年及び第4学年〕 A 話すこと・聞くこと
ア 説明や報告など調べたことを話したり,それらを聞いたりする活動
イ 質問するなどして情報を集めたり,それらを発表したりする活動
ウ 互いの考えを伝えるなどして,グループや学級全体で話し合う活動
中学校国語科〔第2学年〕 C 読むこと
ア 報告や解説などの文章を読み,理解したことや考えたことを説明したり文章にまとめたりする活動
イ 詩歌や小説などを読み,引用して解説したり,考えたことなどを伝え合ったりする活動
ウ 本や新聞,インターネットなどから集めた情報を活用し,出典を明らかにしながら,考えたことなどを説明したり提案したりする活動
高等学校国語科「現代の国語」B 書くこと
ア 論理的な文章や実用的な文章を読み,本文や資料を引用しながら,自分の意見や考えを論述する活動
イ 読み手が必要とする情報に応じて手順書や紹介文などを書いたり,書式を踏まえて案内文や通知文などを書いたりする活動
ウ 調べたことを整理して,報告書や説明資料などにまとめる活動
三つの柱
(1) 知識及び技能
小:日常生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
中:社会生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
高:生涯にわたる社会生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
① 共通点
ア 知識及び技能の具体的内容の観点
具体的には,内容の〔知識及び技能〕に示されている言葉の特徴や使い方,話や文章に含まれている情報の扱い方,我が国の言語文化に関する「知識及び技能」のことである。
こうした「知識及び技能」を,日常生活・社会生活・生涯にわたる社会生活における様々な場面で,主体的に活用できる,生きて働く「知識及び技能」として習得することが重要となる。
② 相違点
ア 各生活に必要な知識及び技能
小学生は日常生活,中学生は日常生活から社会生活へと活動の場を広げる。
「知識及び技能」に関する目標は,日常生活や社会生活において必要な国語の特質について理解し,それを適切に使うことができるようにすることを示している。
高校生は生涯にわたる社会生活である。それは,高校生が日常関わる社会に限らず,現実の社会そのものである実社会を中心としながら,生涯にわたり他者や社会と関わっていく社会生活全般を指している。
「知識及び技能」に関する目標は,広く社会生活全般を視野に入れ,社会人として活躍していく高校生が,生涯にわたる社会生活に必要な国語の特質について理解し,それを適切に使うことができるようにすることを示している。
イ 広がる活動の場
「日常生活」については,小学校は「日常生活」,中学校は「社会生活」,高等学校は「生涯にわたる社会生活」へと発展し,理解し使える必要な国語の生活範囲が広がる。
(2) 思考力,判断力,表現力等
小:日常生活における人と人との関わりの中で,思いや考えを伝え合う力を高め,思考力や想像力を養う。
中:社会生活における人と人との関わりの中で,思いや考えを伝え合う力を高め,思考力や想像力を養う。
高:生涯にわたる社会生活における他者との関わりの中で,思いや考えを伝え合う力を高め,思考力や想像力を伸ばす。
① 相違点
ア 関わる人の広がりの中で思考力,判断力,表現力等を養う
小「日常生活における人」、中「社会生活における人」、高「生涯にわたる社会生活における他者」へと発展し,伝え合いに関わる人の範囲が広がり質が高まる。
思考力,判断力,表現力等の具体は,内容(各科目)の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕に示されている「話すこと・聞くこと」,「書くこと」,「読むこと」に関する「思考力,判断力,表現力等」である。
イ 発達段階に応じた伝え合う力を高める
小・中:伝え合う力を高めるとは,人間と人間との関係の中で,互いの立場や考えを尊重し,言語を通して正確に理解したり適切に表現したりする力を高めることである。
高:伝え合う力を高めるとは,人間と人間との関係の中で,互いの立場や考えを尊重し,言語を通して的確に理解したり効果的に表現したりして,円滑に相互伝達,相互理解を進めていく力を高めることである。
国際化,情報化など,変化が激しく予測が困難な現代社会では,一人一人が良好な人間関係づくりや健全な社会づくりに積極的に関わることが特に求められる。言語の教育としての立場に立つ国語科としては,「伝え合う力」を高めることを通して,そうしたことに確実につなげることが重要となる。
ウ 思考力や想像力を養う(伸ばす)
小・中:思考力や想像力を養うとは,言語を手掛かりとしながら論理的に思考する力や豊かに想像する力を養うことである。
高:思考力や想像力を伸ばすとは,言語を手掛かりとしながら創造的・論理的に思考する力や深く共感したり豊かに想像したりする力を伸ばすことである。
共通:思考力や想像力などは認識力や判断力などと密接に関わりながら,新たな発想や思考を創造する原動力となる。こうした力を,未知の状況にも対応できる「思考力,判断力,表現力等」として育成することが重要となる。
高:従前,物事を深く,広く,豊かに感じ取りかつ味わうことのできる資質・能力を身に付けることを「心情を豊かにし」としていたが,今回の改訂では,深く共感したり豊かに想像したりする力である想像力に位置付け,それを伸ばすことを求めている。
(3) 学びに向かう力,人間性等
小:言葉がもつよさを認識するとともに,言語感覚を養い,国語の大切さを自覚し,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。
中:言葉がもつ価値を認識するとともに,言語感覚を豊かにし,我が国の言語文化に関わり,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。
高:言葉がもつ価値への認識を深めるとともに,言語感覚を磨き,我が国の言語文化の担い手としての自覚をもち,生涯にわたり国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。
① 共通点
言葉がもつよさ・価値とは
言葉がもつよさ・価値には,
・ 言葉によって自分の考えを形成したり新しい考えを生み出したりすること,
・ 言葉から様々なことを感じたり,感じたことを言葉にしたりすることで心を豊かにすること,
・ 言葉を通じて人(他者)や社会と関わり自他の存在について理解を深めたりすること
などがある。
言語感覚とは
言語感覚とは,言語で理解したり表現したりする際の正誤・適否・美醜などについての感覚のことである。
話したり聞いたり書いたり読んだりする具体的な言語活動の中で,相手,目的や意図,場面や状況などに応じて,どのような言葉を選んで表現するのが適切であるかを直観的に判断したり,話や文章を理解する場合に,そこで使われている言葉が醸し出す味わいを感覚的に捉えたりすることができることである。
② 相違点
言葉がもつよさ・価値の認識とは
小「言葉がもつよさを養い」,中「言葉がもつ価値を豊かにし」,高「言葉のもつ価値への認識を深める」へと発展し,言葉のもつ価値への認識の豊さや深さが増す。
言語感覚を養い,豊かにし,磨くとは
言語に対する知的な認識を深めるだけでなく,言語感覚を養う(小)豊かにする(中)磨く(高)ことは,一人一人の児童の言語活動を充実させ,自分なりのものの見方や考え方を形成することに役立つ。
中:言語感覚については,小学校では養うとしているものを,中学校では豊かにするとし,より高いものを求めている。
高:言語感覚については,小学校では養う,中学校では豊かにするとしているものを,高等学校では磨くとし,より高いものを求めている。
こうした言語感覚の育成には,多様な場面や状況における学習の積み重ねや,継続的な読書などが必要であり,そのためには,国語科の学習を他教科等の学習や学校の教育活動全体と関連させていくカリキュラム・マネジメント上の工夫も大切である。さらに,児童生徒を取り巻く言語環境を整備することも,言語感覚の育成に極めて重要である。
国語の大切さを自覚,言語文化との関わり,言語文化の担い手
小:国語の大切さを自覚し,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養うことを求めているのは,我が国の歴史の中で育まれてきた国語が,人間としての知的な活動や文化的な活動の中枢をなし,一人一人の自己形成,社会生活の向上,文化の創造と継承などに欠かせないからである。
中:我が国の言語文化に関わるとは,我が国の歴史の中で創造され,継承されてきた文化的に高い価値をもつ言語そのもの,つまり,文化としての言語,また,それらを実際の生活で使用することによって形成されてきた文化的な言語生活,さらには,古代から現代までの各時代にわたって,表現し,受容されてきた多様な言語芸術や芸能などに関わることである。
高:我が国の言語文化の担い手としての自覚をもつとは,我が国の歴史の中で創造され,継承されてきた文化的に高い価値をもつ言語そのもの,つまり,文化としての言語,また,それらを実際の生活で使用することによって形成されてきた文化的な言語生活,さらには,古代から現代までの各時代にわたって,表現し,受容されてきた多様な言語芸術や芸能などの担い手としての自覚をもつことである。
国語を尊重してその能力の向上を図る態度
小:国語の大切さを自覚し,国語に対する関心を高め,話したり聞いたり書いたり読んだりすることが,児童一人一人の言語能力を更に向上させていく。その中で,国語を愛護し,国語を尊重して,国語そのものを一層優れたものに向上させていこうとする意識や態度も育っていくのである。
中:国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養うことを求めているのは,我が国の歴史の中で育まれてきた国語が,人間としての知的な活動や文化的な活動の中枢をなし,一人一人の自己形成,社会生活の向上,文化の創造と継承などに欠かせないからである。
国語に対する自覚や関心を高め,話したり聞いたり書いたり読んだりすることが,生徒一人一人の言語能力を更に向上させていく。その中で,国語を愛護し,国語を尊重して,国語そのものを一層優れたものに向上させていこうとする意識や態度も育っていくのである。
高:生涯にわたり国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養うとは,小学校及び中学校の目標を更に発展させたもので,国語を尊重するだけでなく,生涯にわたりその能力の向上を図る態度を育成することまでを目指している。我が国の歴史の中で育まれてきた国語が,人間としての知的な活動や文化的な活動の中枢をなし,生涯にわたる一人一人の自己形成,社会生活の向上,文化の創造と継承などに欠かせないからである。
国語に対する自覚や関心を高め,話したり聞いたり書いたり読んだりすることが,生徒一人一人の言語能力を更に向上させていく。その中で,社会の一員として,国語を愛護し,国語を尊重して,国語そのものを一層優れたものに向上させていこうとする意識や態度も育っていくのである。
小学校の「国語の大切さを自覚し」については,中「我が国の言語文化に関わり」,高「我が国の言語文化の担い手としての自覚をもち」へと発展する。「国語」が「我が国の言語文化」へ,「大切さの自覚」が「言語文化の担い手」へと,対象や関係の質が高まる。
文部科学省「小学校学習指導要領解説国語編 第2章 国語科の目標及び内容 第1節 国語科の目標 1 教科の目標」平成29年6月[ONLINE]http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/10/13/1387017_2.pdf(参照2018/03/10)
文部科学省「中学校学習指導要領解説国語編 第2章 国語科の目標及び内容 第1節 国語科の目標 1 教科の目標」平成29年6月[ONLINE]http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/10/13/1387018_2.pdf(参照2018/03/28)