- Windows 10 ver.2004 がリリースされました。このようなWindows 10 の大型アップデートは,適用した方がよいのでしょうか。
- 特に理由がなければ,アップデートすべきです。
理由は,アップデートすれば,機能の改善や品質の向上が図れるからです。
何より,更新したWindows 10 に対するサポート終了日のない継続的なサービスが受けられるからです。
Windows 10 ver.1803 のメインストリームサポートは2019年11月12日にすでに終了しました。
ver.1809 は,公衆衛生上の問題により,サポートおよびサービスの終了予定日が2020年05月12日から2020年11月10日へ延長されました。しかし,サポート終了日は迫っています。
1 大型アップデート適用の必要性
(1)ver.2004 公開
2020 年5月27日,Windows 10 ver.2004 が公開されました。
このようなWindows 10 の大型アップデートは,適用した方がよいのでしょうか。
結論としては,特に理由がなければ,アップデートすべきです。
理由は,アップデートすれば,新機能が得られたりセキュリティ等の品質の向上が図れるからだけではありません。
加えて,更新したWindows 10 に対するサポート終了日がない継続的なMicrosoftのサポートが受けられるからなのです。
(2)入手方法
① 最も簡単で安全な方法
Windows 10 のアップデートの準備ができた時点で,[設定] の [Windows Update] ページからダウンロードおよびインストール可能な状態になります。
更新プログラムをダウンロードするのに最適な時間を選択します。
その後,デバイスを再起動してインストールを完了する必要があります。
インストール後に,デバイスで Windows 10 Version 2004 が実行されます。
② 手動で確認する方法
推奨される最新の更新プログラムを手動で確認するには,[スタート] > [設定] > [更新とセキュリティ] > [Windows Update] を選択します。
しかしながら,更新プログラムの互換性と準備状態の確認が行われるため,すべてのデバイスで同時にすべての更新プログラムが利用可能になるとは限りません。使用しているデバイスについて,Windows側の準備ができていない場合は,更新プログラムは利用できません。
③ 更新アシスタントを利用する方法
手順に従って Windows 10 の最新バージョンに更新するには,Microsoft ソフトウェア ダウンロード ページで更新アシスタントをダウンロードします。
「Windows 10 のダウンロード」のトップページでは,「今すぐアップデート」または「ツールを今すぐダウンロード」が選択できます。
「ツールを今すぐダウンロード」を選択すれば,上書き更新に加え,インストールメディアを作成してクリーンインストールすることもできます。
ただ,この方法では問題が発生するリスクがあるので注意が必要です。
2020.6.3現在で,11件の「既知の問題」が公表されています。対応状況としては,軽減1件,調査中10件です。
気になるようであれば,自動で更新の準備が整うまで待つことをお勧めします。
なお,クリーンインストールについては,「Windows 10 ver.1809再公開版をクリーンインストールする方法(前編)」「Windows 10 ver.1809再公開版をクリーンインストールする方法(後編)」を参照ください。
入手方法:Microsoft Windows サポート「Windows Update:よくあるご質問」[ONLINE]https://support.microsoft.com/ja-jp/help/12373(cf.2020.06.03)
既知の問題:Microsoft「Windows 10 リリース情報 バージョン 2004 既知の問題と通知」[ONLINE]https://docs.microsoft.com/en-us/windows/release-information/status-windows-10-2004(2020.6.3)
Ver.1909 の NEC PC-VN770SSB は,2020.5.29現在更新対象※1ではありませんが,Windows 10 ダウンロードサイト※2より手動にて更新作業を行いました。現在正常作動中です。
同様に Sony VAIO VGN-NS50B(Ver.1909) についても更新対象ではありませんが,ツールを使用してインストールを行いました。インストールに際してはエラーなく導入でき,現在正常動作中です。
この VAIO については,インストールツールを作成し,上書き更新及びクリーンインストールの二つの方法で試行導入しました。どちらも問題なくインストールできました。
※1 Windows Update : 「スタート」→「設定」→「更新とセキュリティ」→「更新プログラムのチェック」
※2 Microsoft「Windows 10 のダウンロード」サイト: https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/Windows10 (2020.5.29)
(3)Windows のサポート終了
ところで,2018年1月9日,Windows 8.1 のメインストリームサポートが終了しました。ただし,延長サポートの終了は2023年1月10日です。
すでに延長サポートをも終了した,Windows XP やWindows Vistaに対しては,Windows Update からソフトウェア更新プログラムが提供されません。
これには,個人情報を盗む有害なウイルス,スパイウェア,その他の悪意のあるソフトウェアからPCを保護するためのセキュリティ更新プログラムが含まれます。
また,Windows Update では,ハードウェアの新しいドライバーなど,Windows の信頼性を向上させる最新のソフトウェア更新プログラムもインストールされます。
Windows XP やWindows Vista は,これらすべての更新プログラムの提供が受けられません。
では,Windows 10 のサポート終了は,どうなるのでしょうか。
Windows 10 については,大型アップデートを適用する場合としない場合で,サポート期間に違いがあります。
本稿では,このような,Windows 10 に対するMicrosoftのサポートの期間や仕組について説明します。
2 固定ポリシーとモダンポリシー
Windows 製品は,製品のリリース日とサポート終了日が重要です。
この主要な日程を知ることで,ソフトウェアの更新やアップグレードなどを行うタイミングが適切に決められます。
それに関わり,Windows OS の製品には,「固定ライフサイクル ポリシー(以下,固定ポリシー)」の対象となる製品と「モダン ライフサイクル ポリシー(以下,モダンポリシー)」の対象となる製品があります。
固定ポリシー
サポート終了日が定義されている製品とサービスを対象とする。
固定ポリシーには,ビジネス,開発者,およびデスクトップ オペレーティング システムのポリシー,コンシューマーおよびマルチメディア ポリシー,デバイスのオペレーティング システム ポリシーが含まれる。
モダンポリシー
サポート終了日がない継続的なサービスおよびサポート モデルに従う。
モダン ポリシー自体は,2016 年 8 月に正式に導入され,オンプレミスおよびオンラインの両方の製品とサービスにこの継続的なモデルを提供する。
※「モダン ポリシーと固定ポリシーに関するお知らせ」Microsoft サポート 最終更新日:2017/3/8[ONLINE]https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4014109/announcing-modern-and-fixed-policies(2020.6.3)より一部抜粋
Windows 8.1 および 7のようなWindows OSの以前のリリースは固定ポリシーに,Windows 10 の半期チャネル (SAC) ,いわゆる大型アップデートはモダンポリシーに該当します。
Windows 製品は,どちらのポリシーに該当するかでサポート方針が違います。Windows 10 については,モダンポリシーに該当し,大型アップデートの適用を見送るとサポートは延長されません。適用を継続すれば,サポート期間は延長,さらに延長と,継続して延びていきます。
3 固定ポリシーの2つのサポート
(1)メインストリーム サポートと延長サポート
Windows 8.1 および 7のようなWindows OSの以前のリリースは,固定ライフサイクル ポリシーに準拠します。
これらのWindows OS には,サポートされる Service Pack レベルで ,10 年間のサポートがあります。
そのサポート期間の内訳は,最低 5 年間の「メインストリームサポート」と最低 5 年間の「延長サポート」です。
メインストリームサポートと延長サポートの違いは以下の通りです。
【固定ライフサイクル ポリシーが適用される製品のライフサイクル フェーズ】
サポートの種類 | メインストリーム サポート | 延長サポート |
---|---|---|
製品の設計と機能を変更する要請 | 使用可能 | 使用できません |
セキュリティ更新プログラム | 使用可能 | 使用可能 |
セキュリティ以外の更新プログラム | 使用可能 | 統合サポートを通じて利用可能 1 |
セルフヘルプ サポート 2 | 使用可能 | 使用可能 |
有償サポート | 使用可能 | 使用可能 |
1 統合サポートを通じて提供される延長修正プログラム サポート (EHS) プログラムは,一部の製品グループに対してのみ利用可能です。
2 セルフヘルプ オンライン サポートは,製品のライフサイクル中に加え,製品のサポート終了後も少なくとも 12 か月間はご利用いただけます。 Microsoft は,オンラインのサポート技術情報,FAQ,トラブルシューティング ツール,および他のリソースを,お客様の一般的な問題の解決を支援するために提供しています。
※「固定ライフサイクル ポリシー」Microsoft サポート 最終更新日:2019/09/19[ONLINE]https://support.microsoft.com/ja-jp/help/14085/fixed-lifecycle-policy(cf.2020.6.3)より一部抜粋 「サポート終了以降」省略
次に示すように,固定ポリシーに準拠したWindows製品は,提供日から初めの5年間,すなわちメインストリームサポート期間中は,製品の設計と機能を変更するプログラム,セキュリティ更新プログラム,セキュリティ以外の更新プログラムのサポートを受けることができます。
次の5年間,すなわち延長サポート期間中は,セキュリティ更新プログラムのみサポートを受けることができます。セキュリティの担保のみでよければ,10年間はWindowsのサポートを受けることができます。
それ以降は,セキュリティ更新プログラムを含め,すべてのプログラムの提供はありません。
クライアント オペレーティング システム | メインストリーム サポートの終了 | 延長サポートの終了 |
---|---|---|
Windows 8.1 | 2018年01月09日 | 2023年01月10日 |
Windows 7 Service Pack 1 | 2015年01月13日 | 2020年01月14日 |
「Windows ライフサイクルのファクト シート(Windows 8.1 および 7)」[ONLINE]https://support.microsoft.com/ja-jp/help/13853/windows-lifecycle-fact-sheet(2020.6.3)
もちろん,Windowsが使えなくなるのではなく,Windowsの起動や操作はできます。
しかし,サポートの終了したOSが稼働するPCをネットワークに接続したり,データを他のPCと共有したりすることには大きなリスクを伴います。
(2)製品のライフサイクルの検索
上記表の Windows 8.1 メインストリーム サポートの終了が2018年01月09日,延長サポートの終了が2023年01月10日のような終了日については,下記の「製品のライフサイクルの検索」で調べることができます。
ビジネス,開発者,およびデスクトップ オペレーティング システムのポリシーは一部の製品には適用されません。 該当する製品で特定のサポートとサービスの開始日と終了日を確認するには,ライフサイクル製品データベースを検索してください。 Microsoft サポート「製品のライフサイクルの検索」[ONLINE]https://support.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/search(2020.6.3) |
4 モダンポリシーに準拠するWindows 10 更新プログラム
Windows 10 の半期チャネル (SAC) は,モダン ライフサイクル ポリシーと呼ばれる新しいルールに準拠しています。Windows 10 では,Windows のビルド,展開,およびサービス提供を行うための新しい方法が導入されました。
モダン ライフサイクル ポリシーの対象となる製品およびサービスは,製品またはサービスについて公開されたサービスおよびライセンスの要件に従って最新の状態を保ち,製品またはサービスを使う権利を持っている限りサポートされます。
マイクロソフトは,無料の製品,サービス,またはプレビュー リリースを除き,後継の製品またはサービスを提供せずにモダン ライフサイクル ポリシーの対象となる製品のサポートを終了する場合,少なくとも 12 か月前に通知します。 |
※Microsoft サポート「モダン ライフサイクル ポリシーに関する FAQ モダン ライフサイクル ポリシーの定義を教えてください。」最終更新日:2020/03/13[ONLINE]https://support.microsoft.com/ja-jp/help/30882/modern-lifecycle-policy-faq(cf.2020.6.3)
Windows 10 の更新プログラムはサービスとして組み込まれています。そのため,Windows の各更新プログラムには,それ以前のすべての更新が累積的に含まれます。
一般ユーザーに関係の深い更新プログラムには,「機能更新プログラム」と「品質更新プログラム」があります。
・機能更新プログラム:
年に 2 回,3月と9月の年2回リリース。Windows 10 に新機能を追加する。
3~5年ごとに Windows をリリースしていた以前の方法と比較して,変更内容は少ない。
・品質更新プログラム:
セキュリティやセキュリティ以外の修正プログラムの両方を提供する。いつでもリリースされるが通常,毎月第2火曜日にリリース。 品質更新プログラムには,セキュリティ更新プログラム,重要な更新プログラム,サービス スタック更新プログラムとドライバーの更新プログラムが含まれる。
このプログラムは累積的であるため,最新の品質更新プログラムをインストールすると,利用可能な修正プログラムをすべて取得できる。
※Microsoft サポート「サービスとしての Windows のクイック ガイド」2020.4.10[ONLINE]https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows/deployment/update/waas-quick-start(2020.6.3)
Windows 10 は,1 年に 2 回,機能更新プログラムが提供されます。
各 Windows 10 機能更新プログラムは,その機能更新プログラムの提供日から 18 か月間,品質更新プログラムが提供されます。
Windows 10 のバージョン別サービス提供終了日
※1 Windows Home,Pro,および Pro for Workstation エディションのサービスの終了 |
注意点として,「サービスの終了日」は,「メインストリームサポート終了日」です。
先に述べたように,固定ポリシーの「メインストリームサポート」は最低 5 年間でした。
しかし,Windows 10 については,いわゆる大型アップデートのレベルで言うと,機能更新プログラムの提供日から 18 か月間,品質更新プログラムが提供されます。
すなわち,「メインストリームサポート」は18 か月間となります。
したがって,Windows 10 については,機能更新プログラムを適用しないでいると,サポート期間が短縮する恐れがあります。
いわゆる大型アップデートをWindows 10に適用すれば,Windows 10 の機能の改善とセキュリティ等の品質の向上が図れます。そして,何より,サポート終了日がない継続的なサービスおよびサポートが継続します。
以上のことから,結論は,特に理由がなければ,大型アップデート,すなわち機能更新プログラムは適用すべきです。
Windows 10 ver.2004 のようなWindows 10 の大型アップデートは,適用することを前提にPCのメインテナンスを計画し実行したいところです。